徒然塚

ヅカあればこそ、生きる喜び

ひとこと:雪組るろ剣ポスター

雪組大千秋楽おめでとうございました
光陰矢の如し、東京では気付いたら星組が始まっておりました…

そして早速、雪組次回本公演、浪漫活劇『るろうに剣心』のビジュアルが解禁。

美!美!美!


あまりのビジュアルの美しさにヅカ仲間に即効LINEし、その場に居たタカラヅカ知らない友人に思わずiPhoneの画面を見せました。


ちぎちゃん美しすぎて見えない。ナンダコレハ。
映画のより完成度高いね、とお褒めの言葉をいただき、ありがとうと言ってしまう親心…自分何様なの。

そんでそんでだいもんの黒髪!まじか…!
今回2番手だいもん演じる敵役は、『今回宝塚オリジナルキャラクターとして生まれた伝説の新選組隊士「加納惣三郎」で、剣心の恋敵というこれまでのどのメディアにも登場しなかった正に宝塚歌劇にこそふさわしい役どころ』だそう。

イケコ…!GJやで…!
小池先生はほんとオトメ心をご理解くださっていて…全女子が見たいと思うだいもんを具現化してくれる小池先生は誰よりもオトメだと思います(超褒めてる) 


そして最近お気に入りのれいこちゃん(月城かなとくん)もポスター入りでうれしーです!

るろ剣は原作も映画も知らない故、なんとか4月までに予習しなくては。


ふぅ。ヅカオタ暇なし、です。

ひとこと:ME AND MY GIRL

このまえ勉強中にふとあさこさんのミーマイをBGMにしてたら無性に観たくなって(当然)、かなり久しぶりに録画をひっぱりだしました。ハイボール片手に。

そんでみりおジャッキーきれいだけど、こんなに綺麗な顔の男役さんでも娘役を演るとやはりオネエに寄るのは仕方ないことなのね…って思って。そして、よく考えたら来年みりおのミーマイなのか…と思って。

きりやんはブリティッシュな紳士の役がとっても合うと思うので、ジョン卿ハマっててすきでした。
個人的には、花組ミーマイではジョン卿はちなつ(鳳月杏)さんでみたいんですけど…どうでしょう??そしたらキキちゃんと柚カレーでジャッキーとジェラルド役替わりかな…
こうして見ると花組の世代交代感がすごい…こんなに一気に上が若返ったのか…

ミーマイはサリーちゃんのキャラクタもナンバーもすごい好きなので、花乃ちゃんには頑張ってほしいです、、

そして役付きが少ない作品だから、そういう意味ではなかなか難しい演目ですよネ、


花組の国際フォーラムのアーネストすごいよかったから、梅芸中日でもアーネスト観れるの嬉しいし(観に行けるかどうかは別…) 、それに次いでハッピーエンドなミュージカル続きで、なんだか月組時代のみりおを思い出して嬉しいですな。

徒然:花組のショーについて。

タカラヅカのショーが好きです。

お芝居もいいけど、1本物の大作ミュージカルもいいけど、タカラヅカの醍醐味と言えばショーだと思っております。


で、さいきんショーと言えば花組

我らが北川景子氏の影響もあり?蘭とむがノってきたあたりから、みりおが花に組替えしてきたあたりの花組のショーのハズレのなさはすごいと思います。

 
 
私の初花組は「復活/カノン」でしたが、公演始まっても余裕でチケット取れて…試験期間終わって公式見て、え、余ってんなら行こうかな、、と思ってチケットをおさえ、即トルストイの原作買って読んでから観に行った覚えがあります。
 
てかあの頃は花組に限らずまだ平日でも余ってるやつは余ってたんですよ、確か。確かね。記憶が遠い…
 
 
そして初花組について、覚えてることといえば、蘭ちゃんがすみれコードぎりぎり?の娼婦役(煙草吸うし…)で、蘭とむがただのだめおぼっちゃんで残念なことと(原作が深く難しいモノだったせいもある) 、CANONCANONCANON!と、最後のデュエダンは2コンビ出ることもあるの…?てことと、エトワールて男役もやることあるんだ…て言う事くらいで。そしてこの歌ウマのエトワールの男役こそ、後のだいもん…


まあそれで初花組にはあまり良い印象はなく笑、次作のCONGA!!、頼まなかったのです…!
 
友達がお芝居つらいけどショーのために頑張る…!みたいなこといってリピートしていて、CONGA!!そんなにいいのかぁというくらいの認識はあったものの、それからもしばらく花組に興味持つことはなかったのだけれど、オーシャンズ11でテリーベネディクトに落ちる。
 
オーシャンズだって星組がやってなかったら観に行かなかっただろう。当時れおん大好きだったから。。
 れおんに一途だったあの頃、まさかあの時のエトワールの男役の人がれおん退団後の後釜になるほど好きになるとは思いませんでしたよね…
 

話逸れました。それでだいもん落ちした私は以前の花組作品達を漁り、ひいてはまとぶん時代のショーも見返し(まとぶんの現役も存じ上げませんが、借りてたDVDの中にあったから結構観てて好きで、、EXCITER!!とかめちゃすき!) 、
CONGA!!も観るに至ったわけです。
 
CONGA!!はラテンショーのなかでおそらくマイベスト。(ちなみに2番は半分ショーカウントしてノバボサノバ) 
 
何回見たか分からんし、なんならいつからか始まったLet's ダンシングというスカステ番組でCONGA!!の振りも練習したレベル。
 
好きな場面はたくさんあるけど、、やはりあの海賊の場面ではないでしょうか。
ギラギラ海賊のお衣装での銀橋男役祭り!!!!ダイスケフジイGJ…!
 
 
当時の花組ほどラテンショー似合う組は他にないと思います。何だろう、花組の黒塗りには品があるんだよねぇ。笑
ついでにこの頃の花組本でも男役黒塗り祭りで小躍りしました。
 
 
で、何の話かと言うと笑。
 
CONGA!!から、オーシャンズ11をはさみ、Mr.Swing!、TAKARAZUKA∞夢眩、宝塚幻想曲(ここからみりお)。
 
いやあ、全部イイですよね…!!
 
 
それぞれにクセはあるから好みがわかれるとは思いますが(サイトーショーとかサイトーショーとかサイトーショーとか)、気付いたら録画リピートしまくってるこれらの花組ショーたち。

Mr.Swing!はオープニングからステキ。結局好きなのは銀橋男役祭り、、帽子使った振りが最高にJAZZYでカッコイイ!ピンクのお衣装であんなにもキザれるのはタカラヅカの男役だからこそ!タカラヅカのショーにJAZZって最高の組み合わせだと思うの。
夢眩は蘭とむ退団公演。プロローグからサイトーカラー全開、そんで蘭ちゃんとだいもんのアニソン、、、(全然詳しくないからワカラナイ、残念)安定の斎藤先生よ…笑 一番好きなナイトとプリンセスが大人になってからの舞踏会の場面。あの蘭ちゃんのネイビーのドレスのお衣裳が最高にかわいい!ラベンダーとピンクのドレスの娘役たちもかわいい!全部かわいい!!ザ・タカラヅカ!そしてBGMにだいもんの愛の夢です。最高です。
ファンタジアはイケイケバスケ部の場面(特に柚カレーの破壊力)もいいけど、私はわりと黒燕尾からのデュエダンが好きです。さくら、花は咲くをアレンジした曲で。花は咲くアレンジがとても美しくて。最近ではれおんのラストデュエダンのショパンのバラード1番がクラシックな正統派デュエダンでとてもすきだったけど、これは同じくらい良かった!!


改めて演出家見てみたけど、私結構稲葉先生好きなんだな。特に稲葉先生×星組。Celebrityもパッショネイトも稲葉先生なのね。
そして藤井先生の安定感も言わずもがな…さいきんでは星組Dear DIAMOND、月組花詩集。どちらもiTunesで音源買ってます。笑


私をタカラヅカに引き込んだ友人が、このショーは○○でしょ絶対って演出家の先生が誰か分かっちゃうの、すごいなっておもってたけど、段々とわかりはじめた自分に引いている今日この頃です。
 
 
余談ですが、ここ最近いいショーに慣れすぎて、ショーとはこういうもの、という脳内設定が終わったせいで、この前ひさびさに驚きました。雪組『ファンシーガイ!』。悪い意味で。笑
ストーリーぶれててよくわかんない場面多いし、だいもんの歌に頼りすぎ、、
ひさびさにリピートきついわぁ…て思いました。すみません、、
 
 
さてさて、ショーに恵まれている花組さん。次のショーも好評な様。とてもとても楽しみです^_^

でもその前に、新生星組のガイズアンドドールズです。今回はスケジュールに余裕がなく1回だけの観劇ですが、、、楽しみ😊😊

宝塚雪組「星逢一夜」

9月頭に観劇しまして、9月の終わりに2回観てきました。

初回、1/3は泣いていた私でございます。笑
そして、2回目、大丈夫…なはず…!と思ったのもつかの間、逆に結末を知っているが故の涙、涙、涙。
3回目。ようやく順応したわ…と思いきや、最後やはりハンカチ1/2濡らす始末。

一回目観劇した時は、日頃のストレスよっぽどたまってんのね、、と友人にドン引きされるほど泣いてしまったゆえ、回数こなしてから冷静になってまた色々考えよう、、と思って感想を保留にしていました。

上田先生の大劇場デビュー作です。
東京千秋楽も近いですが、たくさん【ネタバレ】ありますので、ご注意ください。一応、、

まずブルー基調で夏らしく涼しげなポスターから素敵素敵!青好き!

ラテンショーが当たる公演のときって大劇場は夏真っ盛りの時にやるけど東京劇場だとちょっとズレてるから、いつも若干の残念さがあります…ムラいける方羨ましい…


物語は、三日月藩の蛍村の百姓の子供達と、三日月藩の藩主、お殿様の子供であった紀之介の出会いから始まる。

彼は、居場所を探していた。

お殿様の子供と言えど、側室の子であり、次男であった紀之介は、お城から居なくなっても自分を気にする人などいないと知っていた。

そんな紀之介が好きだったこと。
星を見ること。

だから、星を見るための櫓を建てよう。

そして、泉と源太、百姓の子供達に出会う。

子供時代をそのまま演じるの、初めてだったのですが、全然違和感なくて驚きました。これってすごいことですよね。

紀之介はいいとこのお坊ちゃん感すごいし、おさげの泉かわいいし、なにより源太が愛おしくて…!だいもんあんな声でるんだ…めちゃかわ…!

源太はクラスに1人はいる器用で賢い子。こういう子は前に出たがらずともだいたいみんなの中心にいてリーダーになっていくんだよね。

まなはるの短髪も素敵。そして大ちゃんひたすらでかくて笑った。

三日月藩は貧しい場所だった。百姓の子供達の親は、最近あった一揆のために、獄門にされていた。
泉は母を早く亡くし、父親と弟と暮らしていたから、父親を失ったダメージは大きく、藩主の息子である紀之介は憎むべき相手だった。

しかしそんなことは知らず、一緒に星を見た。

星は美しくて、明日何を食べるかの心配を忘れられたし、泥だらけの足下から顔を上げれば貧しさを忘れられた。

紀之介はお殿様の子供だったけど、隣の藩の水泥棒相手に本気で闘ってくれて、父親とは違うのかもと思えた。


孤独な紀之介の、初めての友だち。
初めての居場所。


しかし、江戸にいる兄が亡くなったことで、藩主の跡取りとして江戸に上がることになってしまった紀之介。

すっかり遊び仲間となっていた百姓の子たちと離れ離れになる道を選ぶのは、気ままに生きてきた紀之介にとっては難しいものだったが、側室である母に諭される。
江戸に上がるかどうかは自分で決めなさい。お前は皆が思っているより賢い子だ、と。

"みそっかすの次男坊"として育てられた紀之介は、初めて母に認められていたと知る。

そして、大好きな故郷にも、星見櫓にも、仲間たちにも、幼なく淡い恋心にも別れを告げ、紀之介は晴興と名を改め、江戸に上がる道を選択する。


江戸では、国を治める将軍、徳川吉宗と出会う。

吉宗は、星を見る晴興の賢さを見抜き、将軍の御用取次としての役目を与える。晴興は父亡き後、三日月藩の新たな藩主として、故郷に戻る。


そして、星逢祭りの夜、再会する。
かつて、淡い恋心を抱いた娘に。


星見櫓での再会、本当に素敵でした。一番好きなシーン。だいもんは出てこないけど。笑

なにより、日本語の美しさ。
みゆちゃんは声の出し方がとても上手いと思う。聞き取りやすいし、頭に入りやすい。


かつて2人の間に芽生えた淡い恋心が、はっきりと輪郭を捉えた。

しかし、泉は源太に嫁ぐこと、晴興は吉宗の姪の貴姫との結婚が決まっていた。

源太は、晴興に頭を下げる。
泉を幸せにしたい、だから、徳川のお姫様との縁談なんて断って、自分のかわりに泉をもらってやってくれ、と言う。

源太の優しさと、大きさ。

でも誰の想いも叶うはずもなく。


すでに、運命は決められているのだという、予感。


江戸に戻った晴興は、吉宗の右腕として、享保の改革という大きな政を始める。

大きな政を成すために、小を捨て大に就く、段々と、人間らしさのない、痛みを感じない人形のような男になっていく。

期待などされず自由に決ままに生きてきた晴興が吉宗という大きな存在に認められた。その期待に応えようと生きてきた。そうやって生きていくために、心を殺すことで自分を守り続けた。


そんな折、三日月藩に一揆の動きがあると知らされる。吉宗は、晴興に、自らの手で一揆を収め、長くならずに戻ってくるよう告げ、送る。


三日月藩で一揆を束ねていたのは、源太だった。
貧しい土地で朝三日月藩の百姓たちは、年貢の取り立てが厳しくなってから、生活に困窮していた。


晴興は、源太に勝ち目のない一揆を止めさせるよう説得するが、源太は享保の改革を止めてくれと請う。この一揆を止めさせるにはそれしか方法がない、と。
しかし三日月藩のためだけに、この大きな政を止めることができないことな
ど明らかだっだ。


そして、一揆が起こる。

領民達は次々に討たれていく。それを見て、晴興は自分の生まれた立場を改めて知ることとなる。

一揆を収めるため、晴興は領民達の前に姿を現し、主謀者である源太と一対一の勝負をすることとなる。

打たれても打たれても立ち上がる源太。


源太は星を見上げることができた。皮肉にも、それはかつての紀之介が教えてくれたこと。
空に瞬く無数の星は、いつも正しく廻り、変わりなく輝き続ける。

人は、その下に、等しく無力なのだ。

時代の大きなうねりにのまれ、運命に身を委ねるしかないのだ。


源太は晴興との一騎打ちのち、全てを悟ったかのように、星を見上げて、ふと笑う。

晴興も、星を見上げる。


源太の命が奪われたことも、
それを奪ったのが晴興だったことも、

全て、星の下に決められていたこと。


晴興ははじめからおわりまで孤独な人だったのだなあと思う。


島流しの前夜に、晴興は戻る。居心地の悪さを忘れられる唯一の場所であった星見櫓に、また自分の居場所を探しに。

泉は、そこで、かつての紀之介にもらった刀で源太の仇をとろうとする。
しかし、ずっとずっと想い続けた人の命を自らの手で奪うことなどできるはずはなかった。

そして最後に、初めて、晴興が泉に伝えた本音。

一緒に、誰も自分たちを知りえない場所に逃げて、新しい人生を共に歩んでくれるかと。

そして、口に出してみて、再び知る。
晴興と泉の歩く道が、一度交わってしまったことが間違いであったのだと。

泉の道はここで子供たちと生きる道。

2人の道は再び交わりまた分かれた。

晴興は新しい道を歩み始める。



正直、初回では、源太が亡くなったあと、星見櫓で晴興と泉が会う場面、源太はもういないのに、こんな展開ひどい…!とヒステリックになりました。笑

だけど、こういうことかなと。

自分の新しい居場所に生きると決めてから、晴興がずっとずっと心にしまって来た唯一の願いを口に出したことで、操り人形だった晴興が、人間に戻ることができた、

そんな風に思えました。


そして、源太は晴興ほどに賢い人間だったはず。百姓のリーダーとなっていったこと、リーダーであることはごく自然な流れだと分かる。
支配される立場である自分たちが一揆を起こすことの無謀さは誰よりも知っていたし、一揆を止めることの難しさもよく分かっていた。
源太は、これも運命だと受け入れた。



晴興と、泉と、源太のバランスの良さが素晴らしかった。

トップスターがいて、トップ娘役がいて、二番手がいるという構成、タカラヅカらしくていいよなあと改めて思えた作品でした。
どんな形よりも安定するというか、、主要人物をそれぞれの比重て作れるから作り手としてもやりやすいのかなあ。


そしてちぎちゃんて360度美しいよね…!(震え)
お歌も安定してきた(気がする) し、変な癖なく演技できるトップさんは貴重だとおもいます。新生宙組まだみてないけど。あとみっちゃんもまだだ。

そしてみゆちゃんは末恐ろしい子です。これで研6とは。ちぎみゆのバランス◎

そしてそしてだいもん贔屓なので、ついに正式二番手としてここにいることが本当に嬉しくて、、それもあってこんな泣けたのかもしれません。笑
わたしも源太のお嫁さんになりたいです。。


今回は1階下手前方、2階席上手前方、1階席最後列上手側とお席を頂き、色々な角度から観ることができましたが、個人的に2階席からの視点が一番好きでした。
プロローグの灯りが天の川になっていて、その隙間からちぎちゃんが現れるところから始まり、星逢祭りの銀橋の迫力、そして最後の回想場面での満天の星空まで、舞台全体を使って綺麗に見えるように演出が工夫されていることがよくわかりました。


また、出演者一人一人が皆役者で、いまの雪組にしかできないし、いまの雪組が作り上げることができる最高のものを見せてもらえた感がすごくて、悲しいけれどとても良い余韻が残る作品でした。


いやあ、上田先生すごいっす。
今後のご活躍にもめちゃ期待!!!

そしてこれからも、ちぎちゃんには日本物を雪組の伝統として守り続けていただきたいものです。

帝国劇場「エリザベート」

珠玉の音楽で綴られた愛と死の物語ーー

このキャッチコピーだけでゾクゾクする。交感神経昂ぶる。音楽が頭の中で鳴り始める。くらいに、エリザベートという作品が好きだ。

登録していたeplusから貸切公演のメールが来て、そうか、東宝エリザベートのチケット販売始まるのか、お花様エリザ凄いって聞くし、一回は観たいな…あれ、チケット全然取れる…しかも全然席余ってるじゃん、と、意外にもあっさり一公演抑えられて、楽しみにしていたお花様エリザ。

東宝版エリザは瀬奈エリザ×石丸トートぶり。タカラヅカ版しか見ていなかった純粋無垢な乙女心に、オトナの要素が加わったエリザベートは少々刺激的で、若干ショックを受けたのを覚えている。
トートダンサーたちの衣装も謎のシースルーだし…笑

それから初めて生で観たタカラヅカエリザベート花組みりおトートと蘭はなエリザ。他のエリザはDVDでのみだけれど、一番好きなのはこの回だったかなあ。何よりだいもん好きなので、だいもんルキーニに贔屓目になってしまうというところもあるけど、安心のみっちゃんフランツ、一花ゾフィー、、周りのキャスティングを見ただけでこれは間違いないヤツだぞ、と、観る前から楽しみだった。唯一の気がかりはタイトルロールのエリザベート…個人的に蘭ちゃんはダンサー認識でしかなかったので、ミュージカル、しかも難曲揃いでちゃんと歌えるの…とか、蘭とむ退団公演のラストタイクーンのとき蘭ちゃんがショーで喉やられてて、この感じで次のエリザベート全公演持たせられるの…とか不安要素だらけだったけれど、蘭ちゃんの娘役の維持とその集大成を観れた気がして、なかなか蘭ちゃんも良かったなあ、という印象だった。


さらに、生意気にも、5月にミュンヘンでウィーン版エリザベートを観てきた。いろいろ言いたいところはあるけれど、一番の感想は、エリザベートが、めっちゃゴツい…!笑
DVD、CDの再生回数なんて覚えてないくらい観て聴いてる故、ドイツ語なのは問題なかった。エリザベート未見なのについて来てくれた優しい友人たちには手書きエリザベート解説書(しかも場面ごとに忠実に追ったやつ)を作って予習してもらった。実際始まると、曲の歌詞が全部日本語歌詞に脳内変換される自分まじでキモチワルイ…と思いながら観た。タカラヅカエリザベートから入った私にとっては、歌唱力重視実力派のキャストで固められたザ・ミュージカル、エリザベートはちょっと期待とはチガウものだったけれど、本当に歌は素晴らしくて、トート役の方なんか、日本版ほどエコーをかけていないのに羽根のようにソフトタッチでハスキーな歌声がトートをこの世のものではないものであることを裏付けていた。でもなんか違うんだよなあ。お芝居は曲と曲のつなぎでしかなくて、演技がなんだか大味に思えてしまって。これが言葉の壁なのか…文化の壁なのか…感じ方の違いか…

とにかく、本家より日本版のエリザベートの方が好きだ。そこにキチンと物語が感じられるから。

さてさて、ウィーン版も経験し、楽しみに楽しみに温めていた帝劇エリザベート

トート…井上芳雄
フランツヨーゼフ…佐藤隆
ルドルフ…京本大我
少年ルドルフ…池田優斗

ビジュアル的には城田トートかなあとも思ったけれど、ここは歌唱力に期待して芳雄トート。そしてなにより尾上松也のルキーニ!松也はテレビで見るくらいだけど、最近歌舞伎を観てきたばかりというのもあり、歌舞伎役者の舞台力に賭けてみようと、しかも彼、とても良い声をお持ちだと思うのです。


まず、舞台装置、凄くイイ…!劇場に入る前、とりあえずお手洗いにと、扉の前を通り過ぎ、中にちらっと目を向けると、ひんやりとした空気感。舞台を抱く大きな悪魔の二つの羽根。

全ての不幸をここに始めよう。
ハプスブルグの栄光の終焉。
少しずつ教えよう、災いの源。

これから語られるのは、エリザベートという王妃に纏わりつく、不幸の物語。

め、めちゃ昂まる…!

ラッキーなことに席は10列目のど真ん中、視界を遮るものはなく、最高の席でした。

そして開演。

最初から松也ルキーニの狂気全開。
何この人、本気で狂ってる、怖すぎる。
まるでずっとスポットライトが当たっているかのような、存在感。ホンモノの舞台役者のオーラを見せつけられた。

エリザベートのプロローグは何回観ても鳥肌ものだ。悲しみ、苦しみ、憎しみ、恨み、妬み、全てのネガティヴな感情が死者たちの中でうごめきだす。

頭上から、芳雄トート閣下登場。
あの気の良さそうな明るいお兄さんが……!プログラムとぜんぜんちがうやん。メイクの力って凄い。笑
安心して聞いてられる、どこか遠くのもののようで、でも近くで囁かれる歌声。

トートが主役でない東宝版は、トートの人格が薄く、より、「トート=死」という定義が強く感じられる。黄泉の帝王がエリザベートを愛したのではなく、悲劇的なエリザベートの運命の中で、常に「トート=死」が隣りに佇み、いつ捕らえられてもおかしくない、不安を予感させるための存在なんだ。

最も有名な、あの、肖像画から、シシィが現れたとき、物語が始まる。
私は現役の花總さんを存じ上げないので、あとたぶんDVDでも拝見したことはないので、ただ13年も娘役トップだったすごいジェンヌ、という認識だけで観に行ったのだけれど、最初から驚かされた。

現れたのは、13歳の少女シシィ。この人一体何歳なの…おかしくない?どうみても「少女」なんだけど…!
そこからはただシシィの一生を追うだけだった。子供時代から最期までを同じヒトが演っているのに、何の違和感もなく。
これは、すごいものを見ているのかもしれない。

私もともと感動の沸点は低めでも、簡単には泣かない方なん(だと思ってる)ですが、今回は、『私だけに』で珍しくうぉおおぉぉぉおってなるくらい泣いた。
自由を奪われた悲しみから立ち上がり自分の道を生きると決意する、強い強い想いが突き刺さり、ボロボロ涙が溢れてきた。

そして、一番すきなエリザベートの鏡の間の場面。真っ白なドレスに身を包み、そこに居たのはエリザベートで、お花様がエリザベートでしかなくて、どうしようもなく美しかった。気品溢れる美貌の王妃、偉大なるハプスブルグ家を背負うオーストリア王妃となったエリザベート。ここでもボロボロ泣く。美しいものを見たときにも涙って出るのね。

花總まり、すごい。すごいものを見ているというのが確信に変わって、幕間。腰が抜けてしばらく立てませんでした。笑

私が踊る時、も好きなナンバーなのだけれど、タカラヅカ版では、まだトートに対して強がる様子が見え隠れしていたように解釈したけれど、今回のお花様エリザでは、トートを嘲笑うくらいの視線を投げ、王妃としての強さ、勝ちを確信しているのが見て取れて、なんというか、すごいカッコよかった…!エリザベートをかっこいいなんて思ったのは初めてかもしれない。

佐藤フランツは体格もがっしりしていて、声も伸びやかで聞いていて心地よく、皇帝としての貫禄があった。
京本ルドルフ、白くて華奢で儚げで、とってもはまり役だったと思う。タカラヅカ版のルドルフに近くて、ザ・王子様で、美しかった。

タカラヅカ版にはなくて惜しいと思うのが、皇太后ゾフィー崩御する場面。最期までれっきとした皇太后であったゾフィーが最期に見せる母親としての顔。フランツにもそうであったように、幼いルドルフにも、強く、厳しく、冷静に、冷酷に、接し続けた、王宮内でただ一人の「男」であったゾフィーは、優しい母親で在りたかったという思いを捨て去り、全てはハプスブルグ家の繁栄と存続の為と、それだけを生きがいとして、生きた。

そして、一番大きく違うのは、エンディングである。

タカラヅカ版では、ついにトートの愛を受け入れ結ばれたエリザベートとトートは幸せのうちに昇天していく。イケメントートと美しい王妃エリザベートが愛し合う。タカラヅカはそれでいい。タカラヅカではそれが正解。
東宝版はそもそも別モノ。ただの1人の少女だったシシィの一生を描いた物語。エリザベートの悲劇的な運命であり、エリザベートが生きたエリザベートの人生の物語。だからこんなにもあっけない終わり方に違和感を感じる。

その答えを持つ、エンディングを担う大役は、ルキーニである。
ルキーニはトートの手下でもなんでもないし、この世界の人間でもない。

エリザベートとトートの、その横で、ルキーニは首に縄を巻き、自害し、全てが闇になる。

そしてはっとする。これは全て、ルキーニが語った、ただの狂言か…?エリザベートのその不可解な最期のために、ルキーニが狂気のうちに生み出した戯曲…
観客は、はじめから、ルキーニの戯曲を観させられていただけなのだろうか。

語られた物語は全て、キッチュ。大どんでん返し。

なんて可笑しいんだ。


本当に何回観ても飽きない。ここまで演出と演者によってころころと色を変える作品を私は他に知らない。


何年も何十年先も、日本の舞台芸術を代表するこの偉大な本作が、そこに在り続けてくれることを、切に祈る。

宝塚月組「1789-バスティーユの恋人たち-」

さて、フランス革命である。

タカラヅカ好きはフランス革命に詳しい。フランス王妃とスウェーデン兵士の許されぬ恋、王家に仕える近衛兵が市民の革命に参加、フランス貴族の亡命を手助けするイギリス貴族、信念を貫いた革命詩人が愛する娘とともに処刑、革命後のフランスを支配した某ナポ礼音の話なんかもあった。概ねは貴族目線、市民はモブ。しかし1789ではモブ要員である市民にスポットライトを当てたタカラヅカ的には斬新な作品である。


私はどちらかというと所謂「まさお節」が苦手な方なので、正直月組公演に足を運ぶ回数は少ない。きりやん退団公演のエドワード8世のまさおはとっても良かったし、ロミオの時には感じなかったのだけど、、節感が年々ハードになってる気がするんだけど、、何故?前回月組を観劇したのは3部作の時かしら。すきだったちなつ(鳳月杏)ちゃんも今や花男だし。今回も行く予定はなかったのだけど、行きたいという友人に引っ張られて日比谷へ向かった次第である。そのことを前提として、今回の感想。

 

先に述べたように、1789という作品自体、タカラヅカ的異色な題材の作品だ。そして中身も、トップコンビが愛し合うタカラヅカスタンダードではなく、“男役トップスター龍真咲”と“娘役トップスター愛希れいか”の実質的W主演のイレギュラーなものだった。

イチ市民のまさおロナンと王妃ちゃぴアントワネットは違う階級・場所で、同じ時を生きながら交わることはない。革命側と王室側がそれぞれに主役を置き物語を進めないと成り立たない。

個人的にはトップコンビが主役と相手役を演じるという型から外れた今回のスタイルは全然アリだと思った。というかそれを張れるだけの女優力が、ちゃぴにあった。

 

1789年、バスティーユ監獄。蜂起した民衆たちとフランス軍隊が衝突。混乱の最中、一人の青年、ロナン・マズリエが、監獄につながる括られた吊り橋を落とすために壁を登りはじめる。

話は遡り、1788年。困窮している農民から尚も税金を徴取する貴族に抗議したロナンは銃を向けられ、それを庇ったロナンの父が撃ち殺される。父の仇を討つため、ロナンはパリへと向かう。パリでは革命家たちが今にフランスは崩壊する、今こそ革命の時だと教え、革命の足音は忍び足で迫って来ていた―――


まさお節は苦手と言ったけれども、やはりまさおのスター感はすごい。華やかさ、立ち姿の美しさ、紛れもなくキラキラしたタカラヅカのトップスター。あの拷問の場面はちょっとどうしても笑えてきちゃうんだけど。笑

ただなんと言うか、まさおが演るからロナンが主役なわけで、まさおじゃなかったらロナンは主役じゃなかったと思う。

まさおだからという説得力がロナンを主役にしていた。


舞台の物語の主役には、ドラマチックな人生が必要である。父親が殺されて仇を討つためにパリに向かうってのは十分ドラマチックなんだけれど、その先が、薄い。

パリに向かったロナンは革命家たちに感化され、一緒に自由のために立ち上がろう、と、革命派に加わった。でも農民出のロナンには学がなく、知識人の革命家たちとの間にある格差に気付き、一度は活動への不信感を募らせていく。その中でパリで出会ったオランプと恋に落ちる。でもオランプは王妃の侍女、自分は革命派、立場の違いから二人が結ばれることは許されなかったが、革命の混乱の中、王妃から自由を与えられたオランプはロナンのもとへ、ようやく同じ立場で愛し合えると思ったら…。これだけ見たらサブタイトルはバスティーユの恋人たちになるんだろうけど、多分、いろいろな部分を盛り込みすぎて、この二人の愛の物語としても薄すぎる。そういう意味でのこのサブタイトルへの違和感。タカラヅカは基本的に男女の愛の物語でなければいけないから、これはちゃんと愛の物語なんです、って自分で言ってこじつけてるだけに思えるのである。愛の物語にしたいのなら、ロナンとオランプだけじゃないほうがよかったのではないだろうか。革命家たちにだって恋人はいたはずだし、革命派の市民というくくりではロナンも革命家たちも同じなのに、ロナンの恋愛だけを取り沙汰すからおかしい。まあでも、ここはタカラヅカで、ロナンはトップスターが演る主役だから。

その分、ちゃぴアントワネットの存在感である。また別の場所で別の物語が進む。マリーアントワネットが正しく主役の、マリーアントワネットの物語。フランスの財政難など露知らず、ギャンブルに明け暮れ、外国人の貴族と不倫。この行動が市民の怒りを買い、処刑という最期を迎える。でもそれは全て、王妃の無知が招いた悲劇。

何も知らない子供のまま、政略結婚でグレていた王妃が、自らの浅はかな行動が招いた革命という結果を受け入れ、フランスの王妃としての自覚と覚悟を持った女性に成長していくその物語がきちんと描かれていた。こんなに出来る子になっていたとは…。ちゃぴの銀橋の歌に私の涙腺も崩壊した。

みやるりの妖艶なアルトワ伯爵、ブラボー!一人異色で、せっかくならアルトワ伯爵を狂言回しに使えないかなとか考えたり。オランプとの絡みもあるし。王族すぎるけど。たまきちはがっしりしていて見ていて安心する。カチャコマもさすがの安定感。でも月組はいつまで番手を曖昧にするのだろう。なんだか、他の組なら即番手ついてもおかしくないレベルのカードを3つも並べて、、と贅沢に思えてしまう。


オリジナル版では、物語をぶったぎって歌が始まり、歌は物語には関係してこないものなんだと言う。つまり1789は、革命という時代をテーマにしたショー、エンターテイメント、というカテゴリーなのだろう。

そうか、そう思えばいいのか。それなら、すごく楽しい。群舞の場面とか、隅っこの下級生まで歌える、踊れる、揃ってる、なんて熱いんだ月組…!全然観てないから知らなかった…!見るところが多すぎて目が足りない。結局友人と2人で最後にプログラムを購入、観劇後飲みながら下級生の写真を見漁る…。

あ、あと噂の暁千星くん、フェルゼン役頑張ってたし、ショーで大階段からまさおと降りてきたときあの背の高いイケメンは誰…?と思ったら彼でした。今後に期待のスターさんですね。


しかしながら、イケコ、よくこんな作品をタカラヅカにぶっこんだよなあ。でも今の月組にしかできない作品であることには違いない。タカラヅカピラミッド的には、2番手以下不明瞭というのはあまりいただけないけれど、できる人たちがうじゃうじゃいる組じゃないとできなかった作品。


東宝版はタカラヅカのような制約はないだろうから、よりスペクタキュルミュージカル!ショー!エンターテイメント!としての演出を期待する。何よりお花様がマリーアントワネット…!先の東宝エリザベートは本当に素晴らしかった。間違いなく生まれながらの王妃役者。そしてかなめちゃんもオメデトウ。

さて、最後に。今回は、王妃マリーアントワネットであり、ちゃんと主役の一人であった娘役トップスターちゃぴに、一番大きな拍手を送りたい。


稚拙ながら、初感想文、おわり。

誤字脱字偏見は悪しからずご了承ください。

はじめに

2011年秋、月組公演で東京宝塚劇場デビュー。その時私を引き込んだ友人から公演DVDを50枚渡され、柚希礼音落ちして宝塚の世界に迷い込みました。
2013年9月花組公演で宝塚大劇場デビューも果たし、2014年6月には中日劇場にも遠征。

ほぼ全組観ているのでせっかくなので忘備録のためにブログ始めます。基本話長いです。よろしくお願いします☺️